東北電力株式会社 ビジネスモデル転換に向けた人財戦略と学びの変革を推進

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東北電力株式会社 ビジネスモデル転換に向けた人財戦略と学びの変革を推進

電力供給事業の構造改革を進めるとともに、スマート社会実現事業へのビジネスモデルの転換に挑戦する東北電力。その達成に不可欠となるのが、新たなビジネスモデルに対応した人財です。


求める人財を「自ら学び、考え、行動する人財」と定めた同社は、コーナーストーン・ラーニングCSXを活用し、従業員一人ひとりが業務内容やスキルレベル、キャリア目標、生活スタイルなどに合わせて自由に学ぶことができる自律型/分散型/個別最適型の教育プラットフォーム「T-next(ティーネクスト)」を新たに構築しました。


API連携による社外コンテンツの取り込みやAIレコメンデーションなどの機能を備え、人財育成担当者や講師の負担を大きく軽減するT-nextは、教育プラットフォームの枠を超えて活用が広がりつつあります。


スマート社会実現事業へとビジネスモデルを大転換

「より、そう、ちから。」のコーポレートスローガンを掲げ、顧客と地域に寄り添いながら東北6県と新潟県で電力供給事業を展開している東北電力。低廉なエネルギーの安定供給により快適で豊かな暮らしに貢献してきた同社は現在、ビジネスモデルの転換期にあるとビジネスサポート本部人財部(人財戦略)副長の佐藤絵里氏は説明します。


「人口減少や社会のデジタル化、働く場所の分散化、脱炭素化などにより、経営環境が大きく変わっています。変化する社会やお客さまのニーズに応え続けるために、エネルギーとデジタルの力を融合して快適、安全、安心な社会を実現する『スマート社会実現事業』へとビジネスモデルを転換すべく取り組みを進めています」(佐藤氏)

変革に必要なスキルを学ぶ教育プラットフォームの導入を決断

この創業以来の大転換で必要とされるのが、新たなビジネスモデルのための人財です。同社は将来を見据えた事業ポートフォリオに基づき、今後必要となる人財を定めた「人財ポートフォリオ」を策定。これを現状と比較し、不足している人財と必要なスキルを特定しました。


「既存職種にないデータアナリストなどの人財は、異業種などから積極的に採用を試みています。一方、DX推進やデジタル人財は、当社のビジネスをよく知る人財のスキル転換が不可欠です。そこで、求める人財像を『自ら学び、考え、行動する人財』と定め、不足するスキルを従業員が習得するための教育プラットフォームを新たに整備することを決めました」(佐藤氏)

豊富な機能、コストバランスに優れたコーナーストーンを選定

教育プラットフォームの整備にあたり、東北電力は人財育成方針を従来から大きく刷新します。長年行ってきた集合型/階層別の研修から、自律型/分散型/個別最適型の学びに変革しようというのです。


「これまでの教育は、会社が指示して階層別に1箇所に集め、所定の期間で画一的なカリキュラムにより行うものが大半を占めていました。ビジネスモデルを転換するには教育の在り方も転換しなければならず、一人ひとりの業務内容やスキルレベル、キャリア目標、生活スタイルなどに合わせて自由に学ぶことができる自律型/分散型/個別最適型の学習環境を整える必要がありました」(佐藤氏)



同社は上記の方針の下、新たな教育プラットフォームの要件として次の6つを掲げます。


  • 自律学習の推進:モバイルにも対応したEラーニング環境であり、従業員一人ひとりに合わせた学習が行える

  • 人財育成業務の効率化:教育の一元管理や業務プロセスの自動化により、人財育成担当者の業務を効率化し、負担を軽減できる

  • 社外コンテンツの活用:API連携で社外のオンライン学習サービスが提供する多様なコンテンツを柔軟かつタイムリーに活用しながら自社のコンテンツ作成の負担を減らすことができる

  • 多様なシステムとの連携:各種のクラウドサービスやタレントマネジメントシステムとの連携が可能である

  • データドリブン:教育/学習状況に関するデータを取得して分析し、経営判断に活用したり、非財務情報として開示して企業価値向上につなげたりすることができる

  • セキュリティ/リスク対応:国内でサーバが運用され、堅牢なセキュリティを備えている

そして、国内外の主要なEラーニングソリューションを比較検討し、クラウド型Eラーニングプラットフォーム「コーナーストーン・ラーニングCSX」を選定しました。上述の要件を全て満たし、自律型/分散型/個別最適型の教育プラットフォームに最適だと判断したことが採用の決め手だったと人財部(人財戦略)の今野龍太氏は説明します。


「AIレコメンデーション機能で一人ひとりに最適な教育コンテンツを推奨できることや、API連携に対応していること、人財育成担当者や講師の負担を軽減できること、規模とコストを抑えて短期間で導入し、スモールスタートできることなども魅力的でした。最終的に、それら豊富な機能とコストのバランスが優れている点を評価し、コーナーストーンを選びました」(今野氏)


UdemyとのAPI連携で最新コンテンツをいつでも利用可能に

2021年1月にコーナーストーンの採用を決めた東北電力は、IT導入プロジェクトの経験が全くない人財部のメンバー4人で日立システムズの支援を受けながら導入を進めます。

「新たな教育プラットフォームはT-nextと名付け、会社からのお仕着

せではなく“自発的な学びの場”として親しんでもらえるよう、サイトデザインなどにも気を配りました」(今野氏)

半年後の7月に導入作業を完了し、全従業員の利用が始まりました。2022年4月からは同社と東北電力ネットワークの全ての研修をT-nextで実施しています。


また、日本国内では初めてベネッセコーポレーションが提供するオンライン学習プラットフォーム「Udemy Business」とAPI連携し、IT分野などの最新の学習コンテンツを常に取り込める仕組みを構築したほか、各事業部門でも独自に教育コンテンツの制作が進められています。


「これまで集合型で行っていた研修も、T-nextを活用してオンデマンドに移行すれば人財育成担当者や講師の負担を大幅に軽減できます。そこで、既存のPowerPoint資料などを活用して研修コンテンツを作ってもらうべく作成方法を紹介したところ、多くの部門の人財育成担当者が自発的にコンテンツを作ってくれています。すでに500本以上がT-nextに登録されており、現在も増え続けています」(今野氏)

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教育プラットフォームの枠を超えて活用が拡大

T-nextにより、従業員は事業所からいつでも自由に学ぶことができます。多忙な従業員を長時間拘束することなく研修が行えるようになったことは大きな利点です。「従業員の多様な働き方に合わせた学びを可能にするT-nextが、新たな価値を創造する人財を生み出す源泉となることを期待しています」と今野氏は話します。

当初想定していなかった活用を進める部門もあります。全社に周知

したい情報を動画にしてT-nextに掲載するなど、動画配信プラットフォームとして使う動きが出てきたのです。

「経営層から『経営層向けの講演を従業員にもぜひ聞いてほしいので、T-nextに載せたい』というリクエストをもらうようになりました。各部門の動画作成を支援するために編集ソフトや撮影セットの貸し出しも始めました。今や教育プラットフォームの枠を超えて活用が進みつつあります」(佐藤氏)

「自由な学びのプラットフォームとして膨らませていきたい」

東北電力は、今後も「自ら学び、考え、行動する人財」の育成に向けてT-nextのコンテンツ拡充に努めるとともに、モバイルデバイスでの受講にも対応していく考えです。


「『他の従業員がどのような学び方をしているのか知りたい』といった要望もあるため、コミュニティ機能を開放し、ユーザー同士が互いを刺激し合いながら学習できるようにしたいと考えています」(今野氏)


将来的にはグループ全社に展開し、「グループ内のどこに、どんなスキルを持つ人財がいるのかがわかるようにしていくことも目標の一つ」だと今野氏は付け加えます。

一方、佐藤氏はT-nextを自由な学びのプラットフォームとして育てていきたいと話します。


「上司が部下に気軽にコンテンツを勧めたり、コンテンツを自由に載せてOJTで活用したりなど、各部門や現場のニーズに応じていろいろな使い方をしながら、当社の学びのプラットフォームとして膨らませていってほしいと思います」(佐藤氏)

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